日本で販売されているトンチン年金性のある保険は以下の3商品です。(ばしこ調べ)
「DIE WITH ZERO」を読んで興味が湧いたので、調べてみました。
・日本生命「グランエイジ」(長寿生存保険(低解約払戻金型))
・第一生命「ながいき物語」(生存保障重視型個人年金保険(2018))
・太陽生命「100歳時代年金」(長寿生存年金保険)
トンチン年金とは
トンチン年金は長寿リスクに対応した保険です。
年金支払開始前に亡くなった人の保険料を生き残った人の保険金に回すため、効率的に長生きした場合のリスクに備えることができます。
※日本で販売されている3商品いずれも年金支払開始前に亡くなったときの保険金はゼロではなく、各社の基準額の7割を払い戻します。
個人的にはトンチン性を高めて、年金支払開始前に亡くなった場合の保険金はゼロにし、長く生きた人にその分多くを配分する商品設計にすれば良いのに、と考えています。
それでは売れない(終身年金パズル)とか、遺族とのトラブルを避けたいとか、色々と事情があるのでしょう。
有利そうであれば、将来的に契約したいと考えています。
(50歳からしか契約できないため、30代半ばの私は契約したくても契約できません)
比較
本来は同一条件(保険加入時の年齢および年金受取時の年齢が同じ)で、比較したかったのですが、各社とも契約の例はごく限られたパターンのみの公開となっています。
そのため、各社で公開されているパターンを元に比較します。
日本生命:50歳で契約、70歳で年金開始(払込期間:20年)
第一生命:55歳で契約、70歳で年金開始(払込期間:15年)
太陽生命:55歳で契約、75歳で年金開始(払込期間:20年)
出典はそれぞれ以下のページです。
結果がこちらです。
・トンチン年金IRR比較(Google Spreadsheets)
サマリは以下のとおり。
黒字化する(受取年金額の総額が払込保険料総額を上回る)年齢
日本生命 男性:90歳、女性:95歳
第一生命 男性:89歳、女性:93歳
太陽生命 男性:89歳、女性:95歳
90歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:0.16%、女性:-0.85%
第一生命 男性:0.55%、女性:-0.66%
太陽生命 男性:0.42%、女性:-1.49%
95歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:1.08%、女性:0.17%
第一生命 男性:1.56%、女性:0.46%
太陽生命 男性:1.71%、女性:0.02%
100歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:1.70%、女性:0.85%
第一生命 男性:2.21%、女性:1.20%
太陽生命 男性:2.50%、女性:0.95%
前提条件が異なるので、どこの会社が良い、ということは言えません。
保険料の払込期間中は個人年金保険料控除が受けられるため、税負担の軽減効果を考慮すればIRRは良くなります。
所得税率:10%、(実際はタイムラグがありますが)保険料支払と同時に控除を受けられると仮定して、IRRを確認してみると、以下のとおり。
90歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:0.22%、女性:-0.80%
第一生命 男性:0.61%、女性:-0.60%
太陽生命 男性:0.63%、女性:-1.34%
95歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:1.13%、女性:0.21%
第一生命 男性:1.61%、女性:0.51%
太陽生命 男性:1.90%、女性:0.15%
100歳まで生きた場合のIRR
日本生命 男性:1.74%、女性:0.89%
第一生命 男性:2.26%、女性:1.25%
太陽生命 男性:2.67%、女性:1.07%
ほんのりIRRが改善しました。
また、太陽生命は株式会社であるのに対し、日本生命と第一生命は相互会社です。
そのため、日本生命と第一生命の場合は配当が支払われる場合があります。
年金開始前の配当は年金開始まで利息付きで積み立てられ、年金開始後は年金とともに受け取ることができます。
そのため、実際のIRRは上記よりも良くなる可能性があります。
とはいえ、、、低く感じます。
早期に死んだ人の3割の保険料を生き残った人に投入してもこの程度なのか、と。
これだったら投資し続けたほうがマシなのではないかと思い、貯蓄や投資の場合と比較してみました。
貯蓄や投資との比較
貯蓄や投資の場合と比較してみましょう。
詳細はトンチン年金IRR比較の「個人年金保険料控除あり」の右側に載せています。
前提条件は
・50歳で積立開始、70歳で引き出し開始。(日本生命と同じ)
・毎月の積立額は50,000円。(日本生命は男性50,790円、女性:62,526円)
・毎年の引き出し額は60万円。(日本生命と同じ)
とします。
貯蓄の場合の利回りは0%、投資の場合の利回りは3%とします。
さらに、投資の場合については、70歳で運用をやめるパターン(投資A)と、70歳以降も運用し続ける場合(投資B)の2パターンを考えます。
貯蓄の場合、89歳で貯蓄が尽きる。
投資Aの場合、96歳で貯蓄が尽きる。
投資Bの場合、125歳で貯蓄が尽きる。
このような結果となりました。
ギネス認定の世界最高齢記録が122歳なので、投資Bは実質的には終身年金のようなものですね。
もちろん、保険は生きている限り、年金を受け取れることが確定しているのに対して、投資にはリスクがあります。
期待利回り3%は長期投資としては控え目な水準であると考えていますが、毎年安定して得られるものではありません。
ただ、私には合わないな、と感じました。
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