2024年10月2日、石破政権が発足し、4日に所信表明演説が行われました。
総裁選時の所見と所信表明演説ではどちらも「5つの『守る』」がテーマになっていますが、中身は結構変わっています。
どんな風に変わったのか、逆に変わらなかったことはなにか、具体策を中心に確認します。
変わらなかったことに注目することで石破さんが本当にやりたいことが見えてくる気がします。
主な変わらなかったことは
・最低賃金を2020年代に全国平均1500円
・防災庁の設置
・発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド・風呂を配備しうる平時からの官民連携体制構築
です。
ルールを守る
総裁選時の所見は
・政治資金のルールを見直し
・有権者目線で選挙制度を見直す改革をリード
とありましたが、所信表明演説では具体的なルールの見直しや改革には言及せず。
日本を守る
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・安全保障基本法の制定
・アジア版NATO
・東京・ピョンヤン相互の連絡事務所開設
・シェルター整備
所見になく、所信表明演説にあった内容
・自衛官の生活・勤務環境や処遇の改善に向け、関係閣僚会議を設置
・沖縄の基地負担の軽減
・沖縄経済を強化すべく支援を継続
「現実的な国益を踏まえた外交」ということでだいぶ現実路線に寄りましたね。
沖縄関連の政策が外交・安全保障パートで言及されているのも印象的でした。
※日米地位協定の見直しに関しては総裁選時の所見でも触れられていません。
(人口減少対策→少子化対策)
総裁選時の所見では人口減少対策というテーマでしたが、所信表明演説では少子化対策に変わっていました。
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・「手当より無償化へ」という方針で支援のあり方を見直し
・マミー・トラック解消のための官民の業務改革
・一律の残業規制の見直し
・副業・兼業規制の解消の促進
・国立大学・高専の授業料無償化
・子育て支援の強化(住宅支援、給食費無償化、修学旅行費等への支援の強化、「経験の貧困」の解消など)
所見になく、所信表明演説にあった内容
・短時間勤務の活用
・生活時間・睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など
丸っきり内容が変わっています。
前政権の方針を踏襲している感が強いですね。
まあ、選挙を経ずに方針を大きく変えるのも良くない気がするので、総選挙を経て信任を得た上で石破カラーを出していくつもりなのでしょうか。
(経済・財政)
変わらなかったこと
・デフレ脱却最優先
・原発の最大限の利活用
・国内資源の探査・実用化
表現が微妙に変わった内容
・半導体・AIなど輸出企業を中心としたサプライチェーンを国内で整備→半導体等のサプライチェーンの国内回帰
・総合的な「幸福度」の基準を設定→総合的な「幸福度・満足度」の指標を策定
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・メリハリのある法人税体系の構築
・霞が関の再生
所見になく、所信表明演説にあった内容
・能動的サイバー防御の導入
・柔軟な社会保障制度の再構築
・意欲ある高齢者が活躍できる社会
国民を守る
テーマ自体が大きく変わっています。
所見のテーマ
・実質賃金・生産性の向上
・社会保障制度改革
・防災省の創設・事前防災の徹底
所信表明演説のテーマ
・物価に負けない賃上げ
・エネルギー ※所見では経済・財政でエネルギーへの言及あり
・イノベーションとスタートアップ支援
・「投資大国」の実現
・社会保障 ※改革の文言が消滅
・良好な治安の確保
・防災、東日本大震災からの復興
中身について確認してみます。
変わらなかったこと
・最低賃金を2020年代に全国平均1500円
・防災庁の設置
・発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド・風呂を配備しうる平時からの官民連携体制構築
この辺が石破さんの一丁目一番地なんでしょうね。
表現が微妙に変わった内容
・高齢者・女性・障害者・外国人の就労促進→意欲のある高齢者、女性、障害者などの就労促進
※高齢者に「意欲のある」が付け加えられ、外国人は「など」に変更
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・労働時間基準ではなく付加価値(成果)基準の労働のあり方への転換
・付加価値の低い労働をデジタル技術などで代替
・定年制と非正規雇用をなくすための制度改革
・全国一律最低賃金の実現
・医療関連(DX、コメディカルの処遇改善、定年制度の見直し、薬価制度の見直し)
・医療費の適正化
・生活保護や貧困対策は衣食住の現物支給を柱とする
所見になく、所信表明演説にあった内容
・スタートアップ支援
・政府のAI政策の司令塔機能を強化
・災害からの復興
・スフィア基準も踏まえた避難所の在り方見直し
以上、中身もだいぶ変わっていました。
地方を守る
変わらなかったこと
・地方創生2.0
「大規模な地方創生策を講じます」→「地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指します」
「デジタル田園都市国家構想実現会議」を発展させ、「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設など、所見から所信表明演説になって、地方創生関連はより具体化されています。
石破さん、やはり地方重視ですね。
総裁選時の党員票も特に地方部で石破さん支持が多かったのも納得。
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・農林水産業DX
・自給率の低い作物の国内生産強化
・畜産業の飼料の国産化
・水産業の養殖業成長産業化
所見になく、所信表明演説にあった内容
・循環型林業など強い林業づくり
・海洋環境の変化を踏まえた操業形態や養殖業への転換
・海業の全国展開など漁業・水産業の活性化
・観光産業の高付加価値化
・文化芸術立国に向けた地域の文化、芸術への支援強化
・「交通空白」の解消に向け、移動の足の確保
・大阪・関西万博農林水産業についても言っていることは結構変わっています。
観光・文化・芸術・交通への言及も今までありませんでした。
各省庁がねじ込んだんでしょうね。
若者・女性の機会を守る
変わらなかったこと
・人生のあらゆる局面で何度でも必要な学びが得られる体制を整備
所見にあり、所信表明演説ではなくなった内容
・教育の無償化
所見になく、所信表明演説にあった内容
・教職員の処遇見直し
・自殺対策
・男女間の賃金格差の是正
表現が微妙に変わった内容
・意思決定の質を劇的に向上させるため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民共通の目標とし、そのためのコストは国が負担するシステムを構築します。
↓
・意思決定の在り方を劇的に変えていくため、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標とし、達成への指針を定め、計画的に取り組みます。
国がコスト負担する話が無くなっちゃいましたね。。
意思決定についても表現が質の向上から在り方を変えることに変わっていました。
どういう理由からこう変わったんだろう。
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