令和4年度 与党 税制改正大綱を読んだ

2021/12/11

税金

t f B! P L
2021年12月10日に公表された令和4年度税制改正大綱を読みました。
昨年までのプロビジネス路線と比べると分配重視の姿勢を強く感じます。
実質的に(清和会から宏池会へ)政権交代が行われた、ということなんでしょうね。

岸田内閣の掲げる「新しい資本主義」とは「ステークホルダー資本主義」であることもより明確になる内容でした。

以下、読んで思ったこと、気になったことを書きます。

ステークホルダーの範囲
下請け先もステークホルダーに含めるところが岸田流かなと思いました。
が、Business Roundtableの「企業の目的に関する声明」(英語)では「customers, employees, suppliers, communities and shareholders」(顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主)がステークホルダーとされているのでサプライヤー(下請け先)もしっかり含まれていたので、私の思い過ごしでした。


収益が拡大しているにもかかわらず賃上げも投資も特に消極的な企業に対し、租税特別措置の適用を停止する措置を強化する。
「強化」ということは今までもあったんだろうけど、現在もこのような運用があるとは認識していませんでした。
今回の「強化」でどのように運用されるのか分かりませんが、アメとムチで政権の望みを実現させようとする意思を感じますね。



オープンイノベーション促進税制について
スタートアップを徹底支援するとともに、既存企業の事業革新を促すことにより、企業が生み出す付加価値の向上につなげることも、「成長と分配の好循環」の実現に向けて必要不可欠である。スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションを更に促進する観点から、資金の払込みによる出資の一定額の所得控除を認めるという極めて異例の措置であるオープンイノベーション税制について、対象に設立10 年以上15年未満の研究開発型スタートア ップを追加する等の拡充を行った上で2年間延長する。
オープンイノベーション促進税制の拡充について「極めて異例の措置」と言っています。
財務省寄りの表現ですね。
昨年の与党税制改正大綱では使われていない表現でした。

住宅ローン控除等の見直し
報道でもよく取り上げられるポイントです。
床面積要件の緩和は省略されがちですね。

床面積要件については「令和5年以前に建築確認を受けた新築住宅において、 合計所得金額 1,000 万円以下の者に限り、40 ㎡に緩和する」とされています。

生涯独身率が上がる中、床面積要件の緩和は既婚者と独身者の公平性を保つ一手段だと思いますが、期間限定だったり、他の住宅ローン控除よりも厳しい所得制限を設けたり、いけてないように感じます。

そもそも所得制限自体が1円でも超えてしまうと適用外になってしまうため、所得制限の境界近くで実質的な所得の逆転を生じさせてしまうので悪手だと思うのですが、なぜ所得制限を設けたがるのか。。


記帳水準の向上等
近年、普及しつつある会計ソフトを活用することにより、小規模事業者であっても大きな手間や費用をかけずに正規の簿記を行うことが可能な環境が整ってきていることも踏まえ、複式簿記による記帳を更に普及・一般化させる方向で、納税者側での対応可能性も十分踏まえつつ、所得税の青色申告制度の見直しを含めた個人事業者の記帳水準向上等に向けた検討を行う。
ぜひ見直してほしいですね。
私自身、10年前に投資用マンションを購入してから複式簿記で記帳しています。

当初4年間はフリーのExelテンプレートを利用していましたが、5年目からは自作のExcelで複式簿記で記帳しています。

別に難しくないと思うんですけどね。。


相続税・贈与税のあり方

高齢化等に伴い、高齢世代に資産が偏在するとともに、相続による資産の世代間移転の時期がより高齢期にシフトしており、結果として若年世代への資産移転が進みにくい状況にある。
高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。

一方、相続税・贈与税は、税制が資産の再分配機能を果たす上で重要な役割を担っている。高齢世代の資産が、適切な負担を伴うことなく世代を超えて引き継がれることとなれば、格差の固定化につながりかねない。

このため、資産の再分配機能の確保を図りつつ、資産の早期の世代間移転を促進するための税制を構築していくことが重要である。

わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は、 相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。このため、 将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方で、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。

あわせて、経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある。

高齢世代が保有する資産がより早いタイミングで若年世代に移転することになれば、その有効活用を通じた経済の活性化が期待される。 

長い引用になりましたが、総論賛成です。

あとはどう具体化していくのかですね。

ブログではまだ取り上げていませんでしたが、昨年「DIE WITH ZERO」を読みました。

5年ぶりの星5評価の本です。(私の評価基準で星5は「人生観や生き方を変えうる1冊」です。)

私自身がFIREを考えていることもあり、子供には早い時期に一定の財産を贈与しようと考えているのでこの辺の議論は注意深く見守っていきます。


財産債務調書制度の見直し

特に高額な資産保有者については所得基準によらずに本調書の提出義務者とする措置を講ずる。

所得によらず調書の提出が必要となったのは10億円以上なったようです。

ひとまず安心です。



磁気テープを提出する方法を除外

支払調書、給与支払報告書等の提出方法として磁気テープが除外されます。

現役で使っていたところあるんだろうか。。

磁気テープで提出している法人・個人がいた場合は注意されたし。

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プロフィール

ばしこ

2000年 15歳で株式投資を開始
2009年 米国株投資を開始
2011年 不動産投資を開始
2016年 長男(0歳)インデックス投資@ジュニアNISAを開始
2018年 妻(3x歳)インデックス投資@つみたてNISAを開始
2019年 長女(0歳)インデックス投資@ジュニアNISAを開始

mail:basico@hexarys.net

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