この本はセンの4つの講演論文「危機を超えて」「普遍的価値としての民主主義」「人権とアジア的価値」「なぜ人間の安全保障なのか」がまとめられたもの。
その為、内容に若干重複があったりする。
経済発展の為には単に市場メカニズムを導入するだけでは不充分で、教育、医療、土地制度等に対する適切な政策が必要になるという部分が興味深かった。
指摘されれば当たり前と思えることなんだけど、経済の議論をする時にこういう話はつい忘れがちになってしまうものだと思う。
他にはあまり本質的なことではないけど、孔子に対する欧米の一般的理解の話が印象的だった。
国家への忠誠とか権威主義的な文脈で語られているのね。
原典に当たることの大切さを実感した。
まぁ、原典に当たるというのもなかなか難しいことであるけど。
個人的には「人間の安全保障」に対して自分が持っていた胡散臭さを払拭できたことが大きかった。
反グローバリズムとセットで語られることが多いような印象を持っていたけど、センはむしろ反対のことを言っていた。
曰く、グローバリゼーションの反対側に位置するのは偏執的な分離主義や頑迷な経済孤立主義である、と。
他にも、示唆に富む話が多くて面白かった。
H18.2.21
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